梅鉢園のメンバー

私は京都に生まれ育ちましたが京都にはお手本となるような庭園が多く貴重な環境だと日々感じております。
しかし昨今の状況を見ますと庭は不要不急といわれる伝統産業の一部でもあります。
千年以上の時間の中で様々な時代のサバイバルを生き抜いてきた価値をどうすれば次の世代へ受け継いでいけるかという悩みは様々な分野でも同じ課題かもしれません。
少なからず樹木に命を宿し、またそこから学びを得る。
空間を通しお施主さんの気持ちを表現し伝えていく。
時間軸は思い出を振り返るだけでなく未来への指針でもあり、その存在は我々庭師が自分自身の魂を磨かせて頂いている場所でもあります。
庭は「庭屋一如」として生活に密着しながらも非日常な空間でもあります。
物事の本質でもあり理想と現実の違和感を調整するような役割でもあります。
地震や台風などの自然災害に直面し人類がコントロールできない事と対峙した時、畏敬や恵みに感謝する。自然環境と共存共栄し豊かな生活を得てきた先人達の知恵の結晶と言えば大袈裟でしょうか？
庭師の仕事は、家業を継ぐ人が大多数でありまして、私のように自分の代から始めるケースはあまり多くありません。後ろ盾のない状況から、今日までやってこれたのは、様々な方々とのご縁があったからに他なりません。
漠然とした不安や迷い悩みが尽きる事はありませんが庭を通し様々な想いを形にして日々を全うしていければと思っております。
高度情報化社会においてアナログで前時代的ではありますが心の奥にある物を表現し生き抜いてきた伝統産業から生き抜く術を学び少しでも提供できればと思っております。
職人一同、一生懸命取り組んで参りますので、これからもどうぞよろしくお願い致します。