
こちらは雑木に囲まれ自然豊かなロケーションでしたが、60坪程の土地が有効活用されず
草が生え、蛇や蚊、ムカデなどの害虫も発生するという悩みをお持ちでした。
お施主さんからのリクエストは、
①お花を植えれるような花壇がほしい。
②既存の梅の木が弱っているので、何とかしてほしい。
③モクレンを植えてほしい
といった内容でした。

広い敷地は夏場には草が生い茂り、立ち入れませんでした。

自然木と斜めに傾いたモミジが植わっていました。

幹に苔が生え、梅の木が衰弱していました。
玄関という日常空間を開くと、庭という非日常空間に踏み入れます。
里山の気候はふもとと異なり、四季の移ろいに包まれます。
「来年の木蓮は綺麗に咲いてくれるか?桜が元気がないけど大丈夫かな?
日陰に移したシャクナゲは機嫌よさそうだ。」と、
時が移ろい、思いを馳せる。時計の針に追いかけられない
日々の営みが憩いの場となり、安らぎの空間になる様にとの思いで作庭させて頂きました。

地形を活かし、日常空間を心地よい空間にしました。

新春は梅、春は八重桜、初夏は新緑、ヒメシャガ、秋はモミジと 季節の香りと共に流れる風を感じれる場所となりました。

真夏の日差しを木々が絶妙に遮り木漏れ日が里山の魅力を伝えてくれます。


1.樹木蘇生
こちらの梅の木はご両親との想い出も詰まった大切な存在です。
衰弱した木の土壌改良は根を傷つけないように全て手作業。
人間の体と同じで、体の中側から改善すると驚くほど効果がでます。
植物の生命の神秘をいつも感じる瞬間です。

2.イメージの確認
・縄張りをして、お客さんとイメージの確認をします。
・庭はお施主さんが使いやすい物でなければ意味がありませんので。
・形のない物を作るのは難しいですが、お話しをお聞きし、
お施主さんの望みをできるだけ想像します。

3.
庭に点在していた石は銘石ではありませんが、土地の大切な個性です。

4.
きれいに整地します。(色んな物がでてきます)

5.
築山を作り、先ほどの石を景石として再利用します。

6.
使わなくなった火鉢と臼を庭で使ってほしいとご要望がありましたので植木鉢と一輪挿しにアレンジしました。

7.
現場からたくさんチャート石がでてきましたので、水の集水会所を兼ねた石組を作りました。
廃棄すれば産業廃棄物で費用もかかりますが、自然の色んな状況に応じて対応するのが庭師の務めだと思います。

8.
これも現場から出てきた石です。特徴のある石でしたので、杉の木をご神木に見立てて礼拝石として使用しました。
何気ない自然を古来より営みに取り入れてきた知恵です。

9.
一旦完成しましたが数年後、芝生の手入れが大変という事で、プチリフォームです。
お庭は生き物ですので、ライフスタイルに応じて変化させていきます。

10.
普段お施主さんの植えられている花にあうレンガをセレクトし、調和を図ります。

11.
既製品ではなく自然素材を使いこなすのは難しいですが雰囲気やコンセプトと呼応させていきます。
直線と曲線の調和も不可欠です。


13.
完成です。

14.
石と砂利の間は「チリ」と言い大切な部分です。陰影から立体感を産み出します。小さな事の積み重ねが良い空間を創造します。